ニュース証券事件東京地裁H21.1.30判決
(労判980号18頁)
〈要点〉
証券会社を解雇された労働者が解雇の無効を主張し、地位確認及び解雇後の賃金等の支払いを請求した事件について、解雇の無効が認められつつ、労働者が他社への就職等により「解雇を承認したもの」と認定されて、地位確認及び他社就職後の賃金の請求が棄却された事例です。ただし、慰謝料として150万円が認容されて、バランスが取られています。
控訴審でも一審の判断が維持されています(東高判H21.9.15労判991号153頁)。
〈判文抜粋〉
・・・原告は、本件解雇後、被告を相手方にして東京労働局に斡旋を申請し、金銭的な解決を求めていたこと(甲8、21、乙9)、法令等により証券会社間の従業員の兼業は禁止されており、証券外務員資格の登録を抹消しないと他の証券会社で証券営業をすることは禁止されているところ、原告は新たな気持ちで証券営業に復帰する意思で、平成19年11月1日、C株式会社に入社し、証券外務員資格登録を行ったこと(甲8、乙7)、原告は、労働審判においても、労働者たる地位の確認は求めず、金銭解決を求めていたこと(甲21、弁論の全趣旨)等の事実が認められるのであって、これらの事実に照らせば、原告は、C株式会社に入社した平成19年11月以降、被告で就労する意思を確定的に放棄し、本件雇用契約を終了させる旨の本件解雇を承認したものと認められる。・・・