労働契約法18条は、有期労働契約が少なくとも1回以上更新され、通算契約期間が5年を超えた場合に労働者に無期契約への転換を申し込む権利を与えています。
同条は、平成25年4月1日以後を契約期間の初日とする有期労働契約について適用されます。
たとえば、平成25年4月1日を初日とする期間1年の労働契約が反復更新された場合、本年(平成30年)4月1日を初日とする契約において通算の契約期間が5年を超えることとなります。そのため、同日以後、同条に基づいて無期転換申込権を手にする労働者が大量に現れてくることが予想されます。
そうすると、その直前である本年3月までの時期に更新を迎える有期労働契約について無期転換権の発生を回避することを目的とする雇止めの動きが広がることが懸念されるところです。
労働契約法19条は、労働者が更新に対する合理的期待を有する場合、客観的に合理的理由があり、社会通念上相当で認められるときでなければ雇止めできないものとして労働者を保護しています。
契約期間が5年近くに及ぶなどして合理的な更新期待を有するに至っている労働者に対して、使用者が単に無期転換申込権の発生回避を目的として雇止めしようとしても、合理的な理由があるとは認められないものと考えられます。
労働契約法19条の保護を受ける労働者の雇止めについて合理的な理由があると認められなければ、労働者の更新の申込みに対し、使用者は承諾したものと見なされ、契約は更新されます。そして、更新の結果、無期転換申込権発生の要件を満たすに至れば、無期転換を申し込むことが可能となります。